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「……こんな、事が……」
体を起こす。
体の痛みは全く無いし、疲れていたはずの疲れも感じられない。
変に痛かった胸部も、全く異常が判らないほどになにも感じられなくなった。
今までの病が嘘であるかのように、体はとても軽かった。
「月日が経っていたにせよ、進行は殆ど無かった様だしな……この薬で、この速度で治せれるものなら、まだ良かった方なんだろうな」
「……君は一体、どこでそのような薬を……?
それに、この病は明細は明らかになってはいない、不治のものとして認定されているものです。
それなのに、何故……?」
ランテージには魔法がある。
その中にはもちろん医療魔法もある。
例え骨折したり、ある程度の内科の病気でも治すことは可能な上に、最上級以上のさらにごく一部の魔法にはなるが、欠損した肉体を蘇生する事も出来る。
だが、魔法とて万能ではなかった。
魔法の力を用いても、治すことが出来ない病があるのだ。
アーゼンはその病の酷く軽度のものに掛かっていて、進行はなんとか薬で抑えられるというもの。
それなのに、薬で、しかも僅か三分で治る(但し酷い痛み付き)というのは不思議でならなかった。
以前から感じていた痛みなどが無く、体がとても軽く、疲れが無くなっている自分の体からして、本当に治ったのだろうと実感するアーゼン。
メイに問いかけるが、メイは僅かに目線を送るだけで、たった一言。
「…門外不出ものですから」
そう言うだけで、答えようとはしなかった。
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