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「…アリア様、少しお変わりになりましたね」
「……え?」
「前は、あまり当たり障りのない言葉しか仰られませんでしたから。
アリア様はメイ様と出会われた辺りから、変わっていった様に思えます。
それが、私達には大変喜ばしいです」
「……」
本当に嬉しいみたいで、大人の微笑みを浮かべる二人。
確かに、メイに合った日から私は変わった。
けど、それは今のアリアになった日に、メイに会ったから。
だからか、メイド達にはメイに会ったから、私が変わったように思っているらしい。
実際は違うわけだけど、一部は確かにそうだとも言える(修行や友達という点で)から、一応その話に便乗しておく。
「…まあ、そうかもね」
「それで、アリア様はメイ様に惚れているんですの?そこの所を是非ともお聞きになりたいですわ!」
「……は?」
え、何を言い出すのこの茶髪のメイドさん。
「え……いや、何でそうなるの?」
「それは……やはり女が変わるとしたら恋ですわ!」
とても目を輝かせて、茶髪のメイドさんは高らかに言った……ってか、なに断言しているんだ?
「貴族と旅人の恋!たとえ愛し合っても身分の差、そして旅人としての性が二人を分かつ……!
いい、いいです!許されざる恋愛!報われない恋心!片や師弟、片や友人!
そのような二人の中で揺れ動く想いは踏み込みたくても踏み込めないものとなっていくのですわ!!」
……えーと……聞くだけだと、どうやらこの茶髪メイドさんは、妄想族みたい……しかも暴走してる。
「いや、無いから。私別にメイに対しては恋心を抱いていないから」
「いいえ!今は気づいておられないだけですわ!きっと、将来は気づきますわ!
『私をここまで変えてくれた貴方が、どこかに遠くに行ってしまうだなんて…私、耐えられない!』
『ずっと一緒にいたいとは思っていた……だけどお前は貴族、いつかは嫁に行かなければならない!そんな君を見たくはないんだ!』と、二人の心は徐々にすれ違って行ってしまうのですわ!」
駄目だ、こいつ自分の世界に入ってやがる。
というか、あのメイがそんな言葉を言ったら私吹き出すかもしれない。
驚きの意味で。
それで頭を心配する。
どこかで頭を思い切り強く打ったんじゃないかって。
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