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それにしても、こうなった人間の対処法は、放置と実力行使くらいしか思いつかない。
ちらりと、金髪のメイドさんの方を見――……あれ?居ない?さっきまで横にいたのに……
「――っとなってしまいますわ。
ですが、そこで貴族の方が言うのですわ!
『あんたには確かに実力はあるが、欠点がある――そう、地位だ!どんなにアリアと結ばれたいと願うなら、どんな手を使ってでも地位を築いてみせてみろ。話はそれからだ』と。
そして悔しく思ったメイ様はアリア様のために、無我夢中で地位を築こ――
スッパァン!
――ふぎゃあ!?(ドサッ」
どこから持ってきたのか解らない、1mはある大きいハリセン。
それで暴走まっしぐらだった茶髪のメイドさんを、金髪のメイドさんは思いきりひっぱたいた。
しかもその勢いのおかげで床に勢い良く倒れたよ。
…ハリセンとはいえ、い、痛そう…
「……目を覚ましましたか?」
「…い、イエス……婦長……」
「よろしい……部下の失態を晒してしまい申し訳ありません。
全ては私の責任です」
そう言って、金髪のメイドさんは茶髪のメイドさんを放って、滑らかな動作で私に向かって跪いた。
……えー?
「いや、別に気にしないから。私は貴方達には特に責任は問わないよ。
というか、どうしてこうも皆、私に畏まりたがるのかちょっと不思議だよ……
こういう態度は、普通上流貴族以上でしょ?
お父様は元は中流貴族だけど、私はその下の下流貴族の子供だよ?
もう少し緩くていいんだよ?」
もちろん一応、マナーとか格式はある。
けど、厳格にするのは上流貴族以上で、平民に近い下級貴族は、そこまで威厳を持たない。
だからもう少しでもいいから気軽にして欲しい……
そう思っていたんだけど……
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