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「いえ、ノリですのでお気になさらないでください」
「いや、気にする……――え?」
ちょっとまってよ、金髪メイドさんもとい婦長さん(茶髪のメイドさん曰く)。
今なんて言った?
「だって、あの憧れのワーズウェルト家ですよ?畏まりたくなるのが本能です」
「そうですわ!全国の憧れの王族・貴族のランキングベスト50にいつも入賞しているこのお家に仕えることは、別に後ろ盾も地位も金もない私達にとってはとっても名誉なことなんですわ!」
いや、何だよそれ。
初耳な上に、名誉と言われても…
「後ろ盾も地位も金もない、ただの平民・貧民出身。
そんな私達が上流貴族、はたまた王族に仕えられるわけが無いじゃないですか」
「だから、そんな気分をここで味わおうっていう、私達使用人の皆様の意見ですわ☆
存分に受け取ってくださいませ!」
素で言っているのか良く解らないけど、あっけらかんと答えるメイドさんの二人……
確かにそうかもしれないけれど……
う、受けたくねえええぇぇぇ!
そんな畏まった所好きじゃないのにいいいいぃぃ!
なんで皆そんなノリでここにいるんだよ、ほんと。
逆に凄いよそれ!
っていうか、それを実行しているってことはお父様も認めたってことだよねぇ?!
何を認めてるんだよあの人!
私には考えが追いつきません!
――そんなこんなで、私が自分の家について苦悩してると、ふと思い出したことがあった。
「……私、一度一人になって落ち着いてから行く事にするわ」
「あら?そうですか。では、私達はこれで」
「失礼いたしますわ」
足音をたてないで、メイドさん達は素早く部屋から出ていった。
……思い返してみて、思ったことがある。
――世界補正の能力、練習してねぇ。
メイの特訓とか、周りのことで手いっぱいだった。
……
駄目じゃん私!!
「……これから練習しよう」
世界、すまん。
修行という名の地獄の日々ですっかり忘れてた。
(……まあ、まだ完全にレッドラインというわけではありませんから大丈夫ですよ)
そっか。
ならこれから頑張る……ん?
(今はアリアさんでしたよね、お久しぶりです、“世界”です)
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