829人が本棚に入れています
本棚に追加
+ + + + + +
「来たぞ!」
メイのその一言で、アリアは剣を構える。
シュンっと、前方の視界の端に何かが動いた気がして――アリアは思わずその方向に剣を振りかざした。
――ガッ!
「ジャッ!」
「?!」
ほぼ勘で剣を振ったのだが、確かな感覚と、生き物の鳴き声と赤紫色の生臭い液体。
ぼすんっと地面に落ちたそれを見て、二人は思わず目をしかめた。
ネズミ――……と言っていいのだろうか?
確かに、20cmほどの体格はネズミにも見える。
だが、円形脱毛症のように所々毛は禿げ、血管が異常に浮いている地肌が見えている。
まだ残っている、元々は茶色であったらしい毛が、紫色に浸食されているかのように斑になり、その出で立ちを不気味な物としていた。
その上目は赤黒く、視点が定まっていないのかぐるぐると不気味に瞳が動いている。
そのため正常では無いのが伺えた。
先ほどの攻撃で運良く毛のない所に入ったからなのか、物理攻撃には弱いのかはアリア達には判らないが、ピクピクと痙攣するだけで、もう、動くことはなかった。
「これ……」
「…ここ近年増えている異常種だな。まだ来るぞ…!」
確かに、前を見ると次から次へと紫色の何かがこちらに向かっているのが確認出来た。
なので再び身構える。
最初のコメントを投稿しよう!