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キーンコーンカーンコーン、と豪華な校舎に似合わない間抜けなチャイムが鳴り響く。
「む、一時間目が終わっちゃったねー。今日はここまでかな」
黒崎先輩がそういった瞬間、マイケル一号の動きが止まる。
見事なまでに打ちのめされ、体の節々が痛い。
「それにしても、春瀬くんなかなかやるねぇ。まさかマイケル一号について来れるとは思わなかったよー。世界レベルまでに引き上げても」
「止めてください」
笑顔でとんでもないことを口走る黒崎先輩に制止をかける。
何言ってくれているんだこの人は。
誰がどう見てもこのボロボロ加減は一目瞭然だろうに。
「春瀬お疲れ。炭酸飲めるか?」
居ないと思っていたら、どうやら飲み物を買ってきてくれていたらしい。
生徒に人気のあるレモン風味の炭酸飲料を、お礼を言ってから受け取り、一気に流し込む。
喉が、炭酸特有のシュワッと感で熱くなるのを感じながらも、三分の一くらいを飲み終える。
丁度そのタイミングで桜太から、
「アンチくん帰ってくる様子ないから、安心して教室おいで」
とメールが来た。
「桜太いわく、安全らしいので」
と伝えると、安心したような表情の委員長と、残念そうな表情の黒崎先輩が見えた。
なんて反応が両極端なんだこの2人。
「放課後もやろうね」
という黒崎先輩の悪魔の呪文をBGMに、安全地帯である教室へと足を向けた。
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