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「はるせか!なぁなぁ、名前は!?」
「俺、名前が嫌いだから名字で呼んでほしいな」
嘘だ。割と自分の名前は気に入っている。
しかし桜太の言葉が本当なら、俺は呼び捨てで馴れ馴れしく呼ばれる。それだけは本気で勘弁したい。
「嫌いなら、おれが呼んで慣れればいいだろ!!名前教えろよ!!」
しかし、一度噛みついてきたすっぽんの如く、何を言おうが食い下がる奴に、埒が明かないと感づいた俺は、しぶしぶ名前を教えた。
「春瀬、律。」
「りつ、りつか!よろしくな!りつ!」
頭が悪そうな自分の名前の発音と、早速の名前呼びに頭痛が痛くなった。
頭じゃなく、頭痛が。
これは手っ取り早く全てを終わらせた方が得策だと俺の本能が叫んでいるので、矢継ぎ早に説明し、いつもの倍くらいあるのではないかというスピードで歩き、さっさと案内を終わらせた。
「後は同室者に聞けば分かると思う。そっちの方が、親交も深まるだろうしな。」
これなら逃げられるだろ!どやぁ!とドヤ顔で言うと、納得したように頷いたため、安心して部屋に帰ろうとした。
しかし。
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