1.初めての案内

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「じゃあ、りつもおれの部屋にこいよ!」 さすが。俺が全く予想できないようなセリフを準備してやがった。 しかし思いだしてほしい。 目の前の奴の同室者は、誇り高き一匹狼の不良様(笑)だ。 そんなやつと仲良く? ナイナイナイ。 俺の豊かすぎる想像力でさえ拒否したようなこと出来るか。 例え部屋に行ったとして、殴られるか、メンチ切られるか、部屋に入れてもらえないかだろう。 ならば俺が選ぶ選択肢は一つしかない。逃げよう。よし来た。 というわけで俺は、脱兎の如く駆けだした。 ふふん!陸上部の奴にさえ引けを取らない俺の脚力を見たか!とばかりに後ろを見ると、茫然とした転入生が寮の前に立っていた。 後は寮監にでもなんとかしてもらえばいいだろうと思い、桜太がいるであろう部屋を目指してさらにスピードを上げた。
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