りんご

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¨ あたしが言い終えた後、大きく目を開いて固まっていた 予想外だったんだろうな あたしがこんなこと言い出すなんて 博士が始めた心の研究が、完成していたなんて あたし自身だって気付かなかったんだもん ずっと黙って2人で互いの目を見つめていた 初めに動いたのは博士だった 目から涙が一筋伝った後、あとを追うようにどんどん溢れていった 「何で?何で?」 ずっと繰り返して、座っていた椅子から落ちた 頭を振っては壁や積んである資料の山にぶつかり、ふらついてはぶつかった 床に紙が散らばる 心の研究をしていた博士が、沢山の書き込みをしていた沢山の紙 博士はそれを踏みつけて、あたしの側まで来てすがりついた 「なん……で…………なん…………で……………」 .
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