1人が本棚に入れています
本棚に追加
¨
小さく呟いた小さな男の子
何を言っているのか理解できない
「僕は宇宙ステーションに乗ってない」
男の子はあたしに近づいてくる
そういえば、この子がいつからいたのか分からない
当たり前にいた
ずっとそばにいた
一体いつから?
男の子があたしの腕を掴んだ
はじめてあたしは手が震えてることに気付く
男の子はその手に真っ赤なりんごを載せる
彼は微笑む
「○○がいないと意味がないんだ」
かちっ
まるで音が実際になったようだった
頭のピースがはまった
そうだ
博士がいなくなった日だ
男の子がいるようになったのは
「愛してる」
彼は言った
目には熱いものが見えるようで、あたしの心をついた
分からない
ぐちゃぐちゃしてて、分からない
今あたしの手が震えているのは喜び?
それとも悲しみ?
けど、ずっとそこに居たんだってことは分かった
それだけ分かった
溢れてくる欲
ずっとずっと我慢していた
彼を呼ぶこと
「博」
無音
強い光だけが視界を覆う
その瞬間ひとつの世界がすべてから姿を消し、
.
最初のコメントを投稿しよう!