りんご

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¨ 机の上に、りんごがある 真っ赤な、それでいてみずみずしいりんごが一つ それを少女は眺めていた 右から、左から、前から、後ろから、上から、… 少女はりんごを手に取り、傾けて下からも見た どこにでもあるようなりんご なんの変哲もないりんごを、まるで物珍しいものを見るかのように、楽しそうに少女は見ていた 周りには誰もおらず、少女の行動を咎める者はいない はたから見ると異様なその光景も、だれも見る者がいないのだから、それには分類されない しばらくりんごを眺めていた少女は、手を止める 口を開けて、それを口元に持っていこうとした 「食べちゃダメ!」 少女以外は誰もいないはずの部屋 そこには先ほどはいなかったはずの、小さな男の子がいた 彼の視線は少女の手にあるりんごに注がれている 少女はりんごから視線を外し、男の子を見る 少女は一瞬、彼に笑いかけた しかし、時間が少しも経たないうちに止めていた手を再開させ、少女 はそれを一口かじった .
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