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私が初めて見たのは博士だった
黒い視界、瞼を開ける
光とともに見えた博士は、それは綺麗だった
何かが溢れてくる気がした
気付いたときには、私は口を開いていた
「ありがとうございます。私を作ってくれて」
私は私の声に感動を覚えた
私はこの声で今から生きることができる
ロボットとして、この世に立つことができるのだ
そして、ストンと何かが入ってきた
しかし、次に見た博士の顔は歪んでいた
悲しそうに…
博士は私に色々な事を教えてくれた
料理、洗濯、買い物…
博士は博士だから、研究を一日中していた
その研究の合間を縫ってまで、遊ぶことや勉強なんかも丁寧に教えてくれた
ある日疑問に思って聞いてみた
「何で最初にプログラムしておかなかったんですか?博士は私に教えなければならないから、二度手間ですよ」
博士は研究をしているときいつも笑っていた
すごく楽しいのだと伝わってきた
だから私は、研究の時間を減らして私の相手する博士が不憫だと思った
博士は、少し考える素振りを見せた後、心で感じて欲しかったと言った
私の心はまだ未発達だから、何でも感じて欲しかった、と…
私は博士の研究に私が役に立っていることが嬉しかった
私は初めて笑った
しかしその時も、博士は私の第一声のときと同じ顔をしていた
私には、博士が何故そんな顔をするのか理解出来なかった
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