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博士が心の研究を止めた
私と話す事も、私と目を合わせることも、私に教えることも無くなった
博士は毎日リンゴを食べていた
皮ごと食べてはよく私に叱られていた
それも食べなくなった
私が買ってくるリンゴもだんだん山積みになっていく
下の方のリンゴは腐り始めている
それでも私はリンゴを買うのを止めなかった
博士が変わっていく
人を遠ざけてく
寝ることをしない
私の存在がないかのように生活する
リンゴが腐っていく
私は私が壊れそうに思えた
ある日、博士は私を部屋に呼んだ
嬉しかった
博士は以前に戻ることが出来たんだ
また博士と関わることが出来るんだ
また穏やかで幸せな日が続くんだ
部屋に入って博士の姿を見た途端、そう確信した
博士はリンゴを食べていた
私は私の期待で胸がいっぱいになった
その期待も期待に過ぎなく、直ぐ打ち破られることとなる
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