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「大変お待たせしました。案内をする前にこれを被ってください」
渡されたものは赤毛のロン毛のカツラだった。
「君の髪って、黒でしょ。霊退治できる人は黒嫌いなんだ。これを被らないと殺されますよ。なにしろ、凶暴ですから」
"凶暴"と"黒"で牛を思い浮かぶ。
闘牛。
でも、闘牛と真逆だなとも考える。
闘牛は赤に向かって、突進してくる。
でも、その人は黒を見て、暴れる。
その分、赤を見ても大丈夫という。
共通しているのは色を見て、暴れだす。
どんな人か、楽しみになってきた。
「ついてきなさい」
俺は店主についていく。
鍵をかけないで、下を降りる。
「鍵はいいんですか?」
「ああ、いいの。ここまで、お客さんがくるとしたら、君みたいな人だから」
店主はどんどん下へとおりていく。
一階まで、降りた途端。
俺の方を見て、こう言った。
「そうそう、相談終わったら俺のところにきなさい」
俺は店主の言葉に特に何も考えず、赤毛のカツラを被る。
店主が車庫の隣のドアにロックをする。
「開けるぞ」
ドアを開ける。
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