あか

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こっちを見て、笑っている。 しかし、俺は気にしない。 無視して、テストに出そうなところを写す。 チャイムが鳴り、ノートや教科書を鞄の中にいれたりして、 教室を出る。 俺も教室から立ち去ろうとする。 女はまだ居た。 俺は女の横を通る。 女はフッと笑う。 俺はドアのところで立ち止まり、女の方を向く。 女は短い間で消えていた。 俺は顔にうっすらと汗が流れていた。 俺は右手で汗を拭く。 そして、その右手を見る。 この右手に先ほどの女の手に触れていたはずなのに、通り抜けた。 現実か? 俺の中でそう思った。 女は人間ではない。 それが入り口だった。
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