サイド未来

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未来が分かるのなら苦労はしない。 未来が見えるのなら苦労はしない。 私は未来が見える。 つまり私の人生は苦労しない。……はずなのだが。 非常に残念なことに、私に見える未来は気まぐれにしかやってこない。 それもとても限定的で、私自身に関する未来は見れない。 神というものがあるなら私はこう問うだろう。 なぜ私に未来が見える力を授けたのか。 中途半端な未来は見えないほうがいい。 おせっかいな私は見えてしまった未来に関わろうとしてしまう。 性分なのだろう。 放っておけないのだ。視えてしまった以上は。 特に人の不幸とやらは。 十一月二十二日。 例年より早く雪が降った。 私はこの日、ある未来を見てしまったがために人通りの多い、とある交差点の前で待ちぼうけをしている。 ここで起こるであろうその未来を確認するために。 事の発端は昨夜の二十一時過ぎ。居間で弟と日曜洋画劇場を観ていたときだった。 映画名は「フェイスオフ」。二大俳優が共演するアクション映画だ。 私はなんとはなしに観ていた。 主人公がある現場で犯人の痕跡を見つけ、長年来の敵をイマジネーションの中で視るシーン。 私はそのシーンを観ていて「透視的だな」と思った。 その感慨深い気持ちになったことがよくなかったのだろう。 その感慨深い気持ちを噛みしめるように瞼を閉じた瞬間、私はタイムトリップをしたような感覚を得て、 ……そして目覚めた。 時間にして数秒。 その数秒の中で私は時間にして数時間の軌跡を持つ未来を視てしまった……。
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