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余談だが、嬉野の制服は少し変わっている。何しろ自分のサイズを曖昧にしか覚えていなかった為か、ブレザーの袖が手を覆い隠し軽く25センチ余っており、裾も同様に太股あたりまで長く伸びている。
しかし少女が突っ込むことはなかった。少女の恰好も、凄まじいと言えば凄まじかったからだ。
薄いエメラルド色の肩まである髪を無造作に揺らし、頭にはゴーグルをつけており眼鏡をかけている。謎である。この場合嬉野の髪も人の事を言えないくらいで、ちぐはくな前髪に寝癖だらけの横髪は肩より少し上にあるかないかくらいだ。おまけにアホ毛が一本、ぴょんと立っている。
少女の恰好は、カッターシャツの中に紫のパーカーを着ているのか、フードが襟から出ており、シャツの下からは同じく紫のスリットが入った服が出ていた。そしてパンツとブーツ。高校生の恰好とは思えない。
籠が曲がった自転車を押し、少女はこちらに近づいてくる。嬉野は軽く身構えした。
「お詫びに何だけど。連れていってあげるよ学校まで」
「え?」
「私もさぁ、今日から庭園学園の生徒なんだわ」
暢気に少女は親指を立てて後ろを指差した。恐らく乗れという意味だろう。今の時刻は8時半過ぎで歩いていたら20分かかるからとてもじゃないが間に合わない。
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