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特に断る理由も見当たらないので、遅刻するくらいなら乗せてもらおう。この際2ケツなんて恐くなかった。
嬉野は首を縦に振って了承した。
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自転車で何とか学園までたどり着き、嬉野は急いで下駄箱へと走る。下駄箱がある生徒用出入口付近では教師達が早く教室へ行くように促している。スニーカーからスリッパに履き替えて教室に行こうとして、気がついた。
彼女はどこだろう。
辺りを見渡して見てもあの奇抜な恰好は見当たらない。今日からこの学園に来るという話をしていたから転校生で間違いはない筈だ。だとしたらもう自分の学年の教室へ行ったのだろうか。嬉野は疑問に思いながらも教室に行くことにした。無遅刻無欠席が嬉野にとっての密かな目標だからだ。
教室に入る為に引き戸式のドアを開けると、喋り声が止んだ。ひそひそと皆口々に何か言い、そしてすぐにまたガヤガヤと声が聞こえてくる。毎回毎回同じなのでもう慣れたのか嬉野は然程気にせず自分の机へと座る。
……別にいじめられているというわけではない。他人とコミュニケーションを取るのが苦手というだけである。
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