1.key

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 6月20日、僕は中学2年で中途半端な時期に、東京の公立中学に転入した。梅雨の終わりが近づいて、僕の新しい学校生活が始まろうとしている。  前の学校では、事情で同級生達と別れを言わず転校したが誰も心配していないだろう。色々と問題を起こしたし、逆に気を遣わずに嬉しい奴の方が多いと独りで納得した。  そして学校の転入手続きが終わり、これから中学生活が始まるのだが、先生は先に教室に入り数十分..ようやく転校生について語り始めた。  『あぁ~、急だが今日からうちのクラスに転校生が入ることになった!ちなみに、赤色の髪の男子だ!!きっと不良だから仲良くしてやってくれよ。』  会って数秒の若い担任の先生が偏見だけで滅茶苦茶なことを言い出した。ちなみに、赤色の髪は産まれてからずっと、この色である。新任に近いと見られる若い男の先生にいきなりいじられるとは思わず一瞬にして背中から謎の汗をかき、気が重くなった。  『赤髪…ねぇ…』  『違いねぇ、絶対ケンカが強い体育系タイプだな。』  『いやいや、意外と文化系かもよ。例えば…ミュージシャンとか!』  『まさか不良かもよ。赤髪なんて目立ちたいだけかも。』  その先生の発言に対しての反応が何故、たかが赤色の髪の毛で生徒達のテンションが上がり、期待してる目をしているのが想像出来る。  『暁君、入っていいよ。』  こんな状況なのに先生に呼ばれた。貴方はホントに教師ですか!  焔哉は大きく深呼吸してからドアを開けた。教室に入り、なんとか目線を泳がせずに黒板の前で軽く自己紹介をした。  『暁焔哉です。…先生の言うとおりに地毛は赤色です。よろしくお願いします。』  僕はそつなく対処した。その後、全員に歓声を混じりながら拍手された。肩の力が抜け、安心しながら自分の一番後ろで端っこの席へ静かに座り、1限目の授業が始まろうとした--
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