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(お父さん、私を迎えにきてくれてうれしかった。でも、お母さんはなんだか嫌そうな顔をした。私に対していつも嫌な顔をする。どうして?どうしてお母さんって呼んじゃ駄目なの?あいつはいいのに)
瑠璃は優しく抱きしめたまま、ゆっくりと口を開いた。
「本当につらかったね。よく、逃げてきたね。もう安心していいよ。よく頑張った」さらに楓は声を出して泣いた。たくさん涙を流す。
少し経って泣きつかれたのかすやすや眠り始めた。
「瑠璃、どういうこと?」その場の空気がぴりぴりしている。
「係長、先ほど勝手に楓ちゃんの心の中を読んでしまったのですが、実の母親から虐待に近いことを受けているみたいです。詳しくは、楓ちゃんがおきてから聞こうと思っています」
「楓ちゃんの心のケアは瑠璃に任せる。あと、すぐにでも東京に帰ろうと思うけど、構わない」全員が神野の言葉にうなずいた。
「よし、さっそく手続きをしてくるね」その日は瑠璃はあまりよく眠れなかった。
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