2.誰の子?

7/8

11人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
 次の日、英知を近くの喫茶店に呼んだ。すっかり目が変わっていた。何かを決意したみたいだった。 「瑠璃さん、おはようございます」と英知はにっこり笑って挨拶をした。瑠璃の後ろに楓がいた。 「おはよう」 英知はまっすぐ瑠璃の目を見つめた。何か伝えたいことでもあるのだろうか。 「瑠璃さん、僕は楓のことを妹としてみてはいなかったみたいです。本当につらい思いをさせてしまいました。今からは妹として楓を守っていきます!だから、楓を返してくれませんか?」楓ちゃんはうつむいていた。 「嫌だ。だって、また同じことの繰り返しでしょ?お母さんが怖いよ」そういった楓の手は震えていた。その震える手を英知はしっかり両手で握り締めた。 「僕が守るから。もう大丈夫。本当にごめんね」英知はきちんと楓と向き合った。楓もまた英知と向き合ったのだろう。二人は泣き出してしまった。血のつながらない兄弟でも、きっと絆があれば本当の兄弟のようになれる。大切なのは、絆だろう。瑠璃はそんな二人の様子をほほえましく見守った。  「もし、今後お母さんがいじめてきたら僕はどうすればいいのですか?」英知は楓の手を握って瑠璃に話しかけた。 「そうだね、証拠がないと警察も動いてあげることができない。児童相談所に一度相談してみて。きっと力になってくれるから」 「そのときは瑠璃さんも力を貸してくれますか?」瑠璃はにっこり笑った。 「もちろん」二人は仲良く家に帰っていった。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加