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松山城に到着。思っていたよりも大きく、綺麗だった。城マニアにとってはたまらないものだろう。ふと、神野が驚いた顔で瑠璃に質問した。
「ねえ、瑠璃。その子だれ?」はっとなって隣を見た。そこには、さきほどの女の子がいた。
「ええ!なんで」女の子は今にも泣きそうな顔をしていた。とりあえず、事情を聞くために近くの喫茶店に入っていった。
注文した品が届くと、神野は優しい口調で女の子に質問した。
「君の名前は?」
「楓(かえで)」短く女の子は答えた。
「どうしてお姉さんについてきたのかな?」女の子は黙り込んでしまった。念のためということで警視庁に迷子の知らせがないか調べてもらった。もちろん、宇津木に頼んで。
「お母さんとお父さん、今頃楓ちゃんのことを探しているかもしれないよ?」瑠璃がにっこり笑っていった。楓はキッと瑠璃をにらんだ。
「探してなんかいない。ママもパパもみんな、仕事のほうが大事だもん。私のことなんか心配していない」その様子はつらそうだった。
「宇津木さんから連絡が来ましたが、その子の名前はありませんでした」と神楽が報告した。
「参ったなぁ。楓ちゃん、お家に帰らないの?」
「帰りたくない!」楓ちゃんは言うことを聞いてはくれなかった。
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