プロローグ

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 とりあえず、宿にもその子を連れて行くことに。旅館の女将に神野は事情を話した。その女将は優しかったおかげで楓を受け入れてくれた。三階の部屋に案内されて、部屋の中へ入った。どこの旅館とも変わらない光景だった。 神楽がお茶を入れて、瑠璃がお菓子を用意した。 「楓ちゃんはどうしてあの電車に乗っていたのかな?」あくまで優しい声で神野は質問していく。 「えっと、お母さんと一緒にいたんだけどはぐれちゃって。で、困ってうろうろしていたら、知らないおじさんがあっちにお母さんがいるって教えてくれて列車に乗ったの」と楓は普通に答えた。 「知らないおじさんねぇ。で、電車のお金はどうしたんだ?」烈火があきれながらも訊ねる。 「おじさんが出してくれた」4人は顔を見合わせて困った表情をした。  まず、考えられる可能性は三つ。 一つ、おじさんが本当に親切な人でお母さんとはぐれたことを知り、電車に乗せた。 二つ、変態。 三つ、楓を誘拐しようとした。 「三番目の可能性が高いね。楓ちゃんは自宅の電話番号を知っている?」楓はうなずいて、電話番号を教えた。
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