鈍色の出逢い

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   翌日、土曜日。駅前。    少し暑いぐらいの6月の日差しに、風が心地良い。    腕時計を見ると、時刻はあと5分で11時。  それを見て私、芝篠四季[しばしのしき]は溜息を吐かずにはいられなかった。    どうして私は此処に居るんだろう。    自問してみるけれど、答えは明白。  手を振りながらやってくる男が、その答え。   「やっほー!待った?」  憎たらしい程の笑顔を浮かべて、彼は私の前に立つ。カーゴパンツにTシャツという、割とラフな格好だ。   「別に……」   「そう?いやあ、来てくれないんじゃないかと思った!」
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