鈍色の出逢い

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 黙っていても仕方がないので、私は選ぶ。  とは言っても、正直どれでもいい。   「……じゃあ、水族館で」  3つの中で唯一行きたいと思えたのがそこだった。   「よーし決まり!さあ行こう!すぐ行こう!」   「えっ、ちょっと!」    あろうことか彼は右手で私の左手を掴み、ぐいぐいと引っ張って歩き始めたのだ。    彼の背は、私よりも20センチは高い。  その分やっぱり、それなりに歩幅も違って来る。   「痛い!痛いから!」   「うわっ、マジ?ごめんごめん!」
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