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2023年8月
一三四 善司(にない ぜんじ)
十歳になって数ヶ月後、いつもの平凡な日常が一変した。
授業中、担任から呼び出され、大好きだった両親の訃報を知らされた僕は一目散に病院へと向かった。
息を切らせて、病院の窓口で両親がいる部屋の場所を聞き出し、院内を駆け抜ける。
病室の入口には既に父方の祖母と叔父夫婦が駆けつけていた。
肩を震わせ静かに涙を流し続ける祖母と叔母の姿。
病室の床を悔しそうに睨みつけている叔父。
僕の心の中で何かが崩れ落ちた瞬間だった。
一筋の光から絶望の淵へと。
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