序章

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  涙が込み上げてきた。 目から涙が溢れ出しそうなのを我慢する。 「両親に会えますか?」 叔父は優しく頷き、僕の背中に手をやり、両親の元へ付き添ってくれた。 病室の中で目にしたのは、ベッドの上で今にも起き上がってきそうな安らかな顔をした二人の姿だった。 「即死だったそうだ。外部の損傷はどこにもないのに」 「死んでるとは思えない」 僕は両親の手を恐る恐る掴んで、絶望した。 「冷たいだろ?生きてるみたいに見えるけど死んでるんだ」 本当に冷たかった。 あんなに温もりがなくなった手を僕は知らない。
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