序章

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  その後、僕は祖母に引き取られ、学校はしばらく休学することになった。 もともと内気だった性格に拍車がかかり、他人の顔色を過剰なまでに気にするようになっていた僕を心配した祖母はある日、外が暗くなったのを確認すると秘密の場所へと案内された。 「善司、私の指差した先には何が見える?」 周りには電灯がなく、暗闇で何も見えなかったが祖母が指差した方へ顔を向けるとそこには、満天の星空があった。 「星はね、亡くなった人達の魂が宿ってるとも云われてるんだよ」 「…え?」 「善司の父さんと母さんも、星になってずっと見守ってくれているのに、いつまでも前を見ずに立ち止まっていて良いと思ってるのかい?」 「…父さんと母さんが僕を?」 「そうだよ。命の灯火が消えても輝き続けれるように神様が最後に与えてくれる最高のご褒美さ」 祖母は笑顔で話す。
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