夏休みの計画

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 というのも、いつもの様に、大学の帰り道、この市に、唯一ある図書館(別府市市立図書館)に立ち寄ったのが悪かったのかもしれない。  ここで日差しが和らぐ午後六時頃まで、文明の利器、クーラーの下で過ごすのがぼくの日課なのだ。が、今日の館内はいつもと違っていた。  人が多い。  いつもは閑散といってもいい程の人しかいないのだが、夏休みに入るのはどうやらぼくだけではないらしく、沢山の幼児や童子、少々の大人たちで館内はにぎわっていた。  だからと言って、多少「館内が煩い」と怒って帰るほど、ぼくは子供ではないし、わざわざ炎天の中へ飛び込むほどの出来事でもない。  むしろ同じく夏休みを楽しみにしているものとして、その気持ちは痛いほどによくわかる。  司書さんや親御さんが「静かにしなさい」と怒っているのを見つけてしまったら「かわりにぼくをしかってください」と庇ってしまいそうなくらいだ。  因みに誤解の無い様に言っておくが、ぼくの性質はノーマルだ。  結局何が原因だったのかと言えば、《学習用パソコンコーナー》に座った人物である。  そいつは最初、人気のある《学習用パソコンコーナー》が空くまで、おとなしく館内を歩いてみたり、本をペラペラとめくってみたりと、実に無害な行動をとっていた。し
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