0人が本棚に入れています
本棚に追加
というのも、いつもの様に、大学の帰り道、この市に、唯一ある図書館に立ち寄ったのが悪かったのかもしれない。
ここで日差しが和らぐ午後六時頃まで、文明の利器、クーラーの下で過ごすのがぼくの日課なのだ。が、今日の館内はいつもと違っていた。
人が多い。
いつもは閑散といってもいい程の人しかいないのだが、夏休みに入るのはどうやらぼくだけではないらしく、沢山の幼児や童子、少々の大人たちで館内はにぎわっていた。
だからと言って、多少「館内が煩い」と怒って帰るほど、ぼくは子供ではないし、わざわざ炎天の中へ飛び込むほどの出来事でもない。
むしろ同じく夏休みを楽しみにしているものとして、その気持ちは痛いほどによくわかる。
司書さんや親御さんが「静かにしなさい」と怒っているのを見つけてしまったら「かわりにぼくをしかってください」と庇ってしまいそうなくらいだ。
因みに誤解の無い様に言っておくが、ぼくの性質はノーマルだ。
結局何が原因だったのかと言えば、《学習用パソコンコーナー》に座った人物である。
そいつは最初、人気のある《学習用パソコンコーナー》が空くまで、おとなしく館内を歩いてみたり、本をペラペラとめくってみたりと、実に無害な行動をとっていた。し
最初のコメントを投稿しよう!