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「とりあえず今日は休みなさい」
司令部の将校に促され、とりあえず原田は宿舎へと帰った。ハンモックに飛び込むと明日からどうするかぼーっと考え始めた。
「これからは自由行動らしいし、気持ちは楽だけどどう動けばいいんだろう……あっ!」
原田はハッとして背嚢から司令部でもらった日記を取り出した。これを読んで今後の参考にしようと考えたのだ。
表紙は泥や露のせいで大分腐食していたが、中身はかろうじて読める部分が多かった。
「名前は…汚れてて読めないなぁ。ただ中尉らしい」
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8月14日 晴れ
175警、行方不明との報告を受け捜索隊編成される。
捜索隊隊長に任命され、任務の重さを実感する。
さらに午後、呉五特とも連絡が取れず、作戦も難航を極める。
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日記の最初の方は関係のない内容だったため適当に読み進めていたが、6月から8月までの記事が丸々抜け落ちていて、この8月14日の記事になっていた。
よく見ると6月~8月のページの根元にちぎられた後があった。
「何故ちぎってあるんだ?」
原田は不審に思いながらも、特に気に止めず次の日付へ移った。
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8月15日 晴れ
アロワナ街道タマダンより南へ進撃す。
途中、敵一個中隊に遭遇するもたやすく撃退、遺棄死体20を数え捜索隊の士気大いに上がる。
ただ、一点
戦闘中、副官の西川原少尉突然光が何かと、訳の分からない事を言い発狂死す。
小官不審に思うもタロトの原住民に頼み埋葬させる。
必ず少尉の仇をとると誓う。
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そこまで読んだ所で原田は眠ってしまった。予想以上に今日の戦闘が効いているらしく、ランプを消すのも忘れて毛布にくるまってしまった。
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