薄荷味の真夏日

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六角形のプリズムが眼に飛び込む、真夏の高陽が白く眩しく燃えていた。 其処は悠久の地、地平の彼方まで連なる向日葵畑だった。金の油を浴び、さんさんと耀く背高のっぽが群れ成し佇み揺れて、ただ風に花弁を浮かばせる。 黄色と青葉のアーチ掛かる畦道の先、向日葵のトンネルを抜けると誰かが其処に居た。 真っ白なヴェールの如く無垢なワンピースの後ろ姿。亜麻色のロングヘアーを吹き抜ける夏風に靡かせ、その夏風が麦わら帽子を浚っていった。 すると、少女が振り向く。髪がはらりと風に舞い、裾がひらりと風に吹かれた。 青い夏風を真に受けて、僕の心に恋は華を咲かせた。抜ける様な青空が、高く聳える午後だった。
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