美食家魔王は大罪がお好きなようです

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――――― 午前11時。 入道雲が彼方に浮かんでいる。 夏期限定の虫達の合唱が鼓膜を擽る。 不意に前方から冷たい風が吹いてきた。 Tシャツから飛び出た両腕と、汗ばんだ額に、それが当たり心地よい。 頬を伝う汗を拭い、青い空を見上げた。 カラッとした清々しい天気である。 o川*゚ー゚)o「…よしっ!」 散歩を始めて早30分。 今のところ殺人鬼には出会していない。 此処は何処なのだろうか。 疑問や不安よりも、ワクワクという感情が脳内の奥底で沸き上がる。 o川*゚ー゚)o「さてと…」 スニーカーの底をアスファルトに擦り付け、右と左の分岐点で歩みを止める。 o川*゚ー゚)o「どちらにしようかな…」 指を右に左に動かして、最終的に左で動きを止めた。 体をそちらへ向けて、歩きを再開。 ――こうして目的地の無い小さな探検が続いていく。 この先は、どうなるのだろうかという好奇心が胸の中で大きく弾んだ。
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