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まったく状況が読めていないのは確かだが、とりあえずこの男の質問に正直に答えようと、まずは頭を落ち着かせた。
何か変なことをすると、今度こそ殺される気がしたからだ。
(;^ω^)「えっと、このデカいのはギターという楽器です。このピックで弾くんですお」
(´・ω・`)「楽器?…やはりただの農民では無さそうだな。お前ほどの身分の奴が、どうして刀も持たずにこんなところを出歩いてるんだ」
(;^ω^)「へ、身分?」
(´・ω・`)「信じられんほどの無知無学だな…この時代にそこらの農民が琴を弾いてみろ、即晒し首だ」
(;^ω^)「な、なんでですかお!?そんな話どこの世界でも聞いたことないお!」
(´・ω・`)「芸能を嗜むというのは高貴なことなんだ。俺もこの制度には少し疑問があるが…少なくともこれは常識だ」
(;^ω^)「そんな…」
そんなふざけた話があるだろうか。
何の冗談か知らないが、この話にはちっとも納得いかない。
ブーンは初めてこの男に対してまともに話しだした。
(;^ω^)「そんなの絶対に間違ってますお!音楽や芸能というものは人間すべてが楽しめるもので、愛すべきものなんですお!その自由が身分ごときに縛られるなんて意味がわかりませんお!」
(´・ω・`)「ふむ…」
この男からみれば、わけのわからない格好をした男が自分に対してまくし立てているような状態だ。
しかし男は嫌な顔一つせず、ブーンの話を最後まで静かに聞いた。
(;^ω^)「はぁ…はぁ…」
(´・ω・`)「まあ、お前の言いたいことはわからんでもない」
(;^ω^)「だ、だお?」
(´・ω・`)「しかし自由と幸福は違う。仮に農民に音楽が許されたとして、農民は幸福を得られるのだろうか」
(;^ω^)「あ…」
(´・ω・`)「一つ二つの自由が許されたところで、彼らが農作業を強いられる現状は変わらない。そりゃ気は楽になるかもしれんがね」
(´・ω・`)「ところで、お前は音楽に相当惚れ込んでいるようだな。どれ、その"ぎたー"とやらを弾いてみてはくれないか」
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