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気味の悪い大きな城の王座に座るツインテールの少女が肘をつきながら前に膝まづく部下に訊ねた。
「ねぇ、勇者くんは今何歳くらい?」
部下に訊ねるその顔は赤くなり、目はとろんとなっていた。
まさに恋する乙女である。
「ただいま5歳でございます」
部下は書類を見ながら言った。
(もうそんなに大きくなったんだぁ……。
あともうちょっとで会えるね、勇者くん!)
その少女、いや魔王はウキウキとしながら考えていた。
(そろそろ宝箱にいれる武器とか防具とか発注しないとな……)
魔王は赤い髪をいじりながら悶々と考える。
「あの、魔王様……」
「ねぇ、そろそろ武器と防具、受注しといて」
「はっ!」
部下がなにか言いかけたのを遮ると頼んだ。
部下は不服そうであったが、素直に従った。
(ふふふっ、喜ぶかなぁ、勇者くん)
恋は盲目なり、である。
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