行雲流水

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カンカン ああ、うるさいなあ カンカンカンカン 昨日遅かったんだ、寝かせてよ カンカンカンカンカンカンカンカン 『だあああ!』 ええい、五月蝿い、何事!? 『んあ!?』 周りは畳、二畳の部屋。 木の扉の引き戸に古びた押し入れ。 ここは「立原寺」 俺、こと「立原サハラ」はこの立原寺に住み込んでいる、ある理由があり実家を捨てた。 5年前に実家を飛び出して己を鍛えていた。 そして一年前、第二次と言われる「重力の雨」が降り注いだ。 資料で見ていた言霊化の発動。 今回も50年前同様、多数の人に落ちた。 かくいう、俺もその一人。 心内にある自分を表す言葉が現存する。 そして… カンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカン!! 『うるせええええ!』 他の奴には見えない、俺の言葉が鎌を刃研ぎしている…かなり五月蝿い 更に言うならコイツが発する音から何から全て俺にしか聞こえない。
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