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「――貴公らには、これから、村から北にある洞窟へと赴いてもらいたい。そこで何をするかは、同行する案内人に伝えておく故、その都度、指示を仰いでくれ」
どうやら、この場では話せない事らしい。案内人をつけてくれるのは有難いが、北というと、俺達が来た道を逆戻りする事になる。
まあ、都合が悪い訳でもないが、はて……通った道に洞窟へと続く道があっただろうか?
「それは構いませんが、洞窟というのは……?」
俺の疑問点を代弁するかのように、マリクはオルドナに対し、そう問い掛けた。
「ああ、貴公らは北の方からやって来たのじゃったな。洞窟は、普通の冒険者には分からぬよう、通ずる道に細工を施しておる。案内人をつけるのは、その為じゃ」
「なるほど」
と、目を細めて頷くマリク。
「それで、案内人というのは?」
「ふむ、じきに帰って来る筈じゃが……」
〈ただいま戻りましたぁー!〉
その時――オルドナ達の話を遮るように、部屋の外から声が響いてきた。メイドのものではない、爽やかさを醸し出す男声である。
当然、俺とマリクの注意もそちらへと向いたが、オルドナだけは口許を緩ませ、待っていたとばかりに息をついていた。
そして、声の主は、メイドに導かれる格好で、応接間へと進入してくる。隣で立っている純白の少女を伴って――
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