異能力者

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 ああ、軽装で思い出したのだが、俺が不覚にも目を奪われた理由として、その一つに、彼女が俺とは対照的に純白の服装であった事が挙げられる。  服装は、身に纏う人間の性質を如実に表しているものだと云われているが、それが本当なのだとすれば、あの少女の心は曇りがなく、純粋だと捉えられるだろう。あくまで、推測であるのだが。  何れにせよ、彼女が何者であろうと、二度と会う事はないだろう。この時はまだ、そう思っていた。  そうして、思考をあらゆるところへと巡らし、相棒の何気ない話をクラシック音楽でも聴いているかのような感覚で聞き流しながらも、目的地であるエトナの村へと到着する。  到着した俺達を迎える村人らの視線は鋭く、それが余所者を煙たがっているように映らない事もない。  実際、俺達の風貌は、決して華やかなものではなく、黒ずくめの服装は殺気さえも放っているようにも感じ取れる。自分で言う事でもないのかもしれないが。  けれど、俺達のような冒険者を煙たがる最大の理由を、こちらは既に把握している。  エトナという村は、古の時代から、とある“伝承”を守り続けている事で有名であり、その伝承というのが、お伽噺として取り上げられている秘宝伝説――ハートレスソウルに関連するものではないかと、冒険者達の間で噂されているのだ。故に、村人が他の田舎町の人間以上に警戒の意を示すのは、不思議ではない訳である。
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