水に恋した花

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最後の日なのに何もやることが思い付かないのは、僕だけじゃないと信じてる。 すると携帯(ケイ君二世)に着信がきた。母親から弁当箱を忘れたから持ってきてほしい、と書かれたメールが。 ……まぁいいか。最後だもの、弁当だってなんだって届けてやらぁ。 冷蔵庫を開けてみると、確かに一番上の棚に弁当箱が置いてあった。 冷蔵庫から出しナフキンで包む。 それから部屋に行き服を着替えた。かごから斜めかけバッグを取って、ナフキンで包んだ弁当を縦にならないように入れる。 水道で顔を洗い歯磨きして身だしなみチェック。 よし、準備完了。 腕時計を見ると20分近く経っていた。 なのでだいたい午前8時。 バッグを肩にかけて鍵を閉める。靴をつま先で軽くトントンし、階段を降りた。 少し高いところに建てられたアパートを出、悩んだ末歩ける距離なので歩くことにした。 アパートは二階建ての一階三部屋。二階の左側に住んでる僕と母さん。 七畳と五畳の部屋にキッチン、トイレつき。五畳が僕の部屋だ。 このアパートも今日で見納めか……。 振り返らずに坂を下る。
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