僕らの終わりを

水に恋した花

母さんはキャリアウーマンだ。

家庭よりも仕事を優先する。優先、というよりは好きって感じ。
前に働いているところを見たとき、とても生き生きしてた。

けど、家にいる時は家族との空間を大事にしてくれる。

そんでもって姉御肌。
母さんは働いている時間が多いから、大体のことは自分でやってきた。(今さらだが、父親はいない)
お陰さまで料理のレパートリーはそこいらの主婦と変わらない自信がある。掃除もね。

さらに言うと、転んで擦りむいた膝と、帰り道に通り魔に襲われてできた刺し傷なら母さんは間違いなく擦り傷を先に手当てするだろう。
理由は簡単。こっちの方が痛そうだから。

僕は刺し傷が痛いと思うんだけどね。
弁当箱も忘れるし、絶対どこかぬけてるよ。

最近老眼になったとか嘆いてたな……老眼鏡でも買ってあげよう。
あ、今日で終わりか。じゃあ無理だ。

坂を下りきると、まだ朝なのに活気づいていた。
この通りは大きな一本通りで、道を挟んで店が並んでる。通りの長さは３００メートル近くあるんじゃないかな。
洋服から食品、文具まで様々な店があるから、この通りひとつでだいたい揃う。だから人の行き来がけっこう盛んだ。(僕も活用させてもらってる。なかなか便利)
雰囲気は商店街に近いと思う。