水に恋した花

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でも今日はやけに人が多いな……。 夏が近づいてるのに汗はかいてない。この分なら人混みに入っても大丈夫だろう。 と、そこで思い出した。 第二火曜市か。なるほど……酔いそうだぞ。 自分に渇をいれて人の波に入った。すると僕を呼ぶ声が聞こえた。 「お、今日は早いな。エッチな夢でも見たか?」 向かって左にある八百屋のおじさんの変態発言。 ジト目で睨んでみる。 「おじさんと一緒にしないでくれ。ただの頼まれ事だ」 「つめたいなぁ」 「いつもそんなこと言ってるからだろ。というかお客さんたくさん居るんだからさっさと仕事しろ」 ダメな大人だ。こんな大人にはなりたくないね。 「へーい……じゃあな」 仕事をしているからと思ってはいけない。隙あらばサボろうとするダメ人間ですからね。 おじさんと別れた後も、回りのいろんな人におじさん同様声をかけられる。僕の体質なのかなんなのか、外に出るたんびに知り合いが増えてく。だからあんまし外出たくないんだよね。 なんていうか、 変な縁で結ばれる、のかな。 しばらく声をかけられながら人の間をぬって進むと、小さな悲鳴が聞こえた。相変わらず人が多い。その方向へ向かってみると女の子(?)がしりもちをついていた。他の人は見ただけで通りすぎていく。 まったく。 「大丈夫ですか?」 近付いて手を差しのべた。女の子が顔を上げる。 制服と顔立ちをみると高校生かな。 前髪ぱっつんで背中までの黒髪ストレート。少し幼い感じの顔をポケッとさせて、手と僕の顔を交互に見てる。
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