49人が本棚に入れています
本棚に追加
だが、結果的にそれは糠喜びであった。
火星に存在していた生命――後の世にBETAと呼ばれるようになるそれは極めて好戦的な種族であり、コミュニケーションを図る事すら不可能であったのだ。
火星から射出された何らかのユニットである"それ"が東アジア共和国のカシュガルに着弾して以降、人類は彼等との終わりなき戦いを強いられるようになったのである。
今では信じられないが、"それ"……異星起源種の「巣」とも呼べるオリジナルハイヴから無数に生み出された異星起源種に対して、当初人類は優勢を維持していた。
航空戦力による飽和攻撃、加えて核兵器という切り札を有している人類が負ける筈はない――誰もがそう信じていたが、現実は違った。
突如として生み出された新種、光線級の出現により制空権を奪われ、人類は急激に劣勢に転じる事になる。
それから40年あまりが経過した現在でも、人類は異星起源種に対して有効な攻撃手段を有していない。
爆発的に繁栄した物量と光線級によるレーザー攻撃を主軸とする異星起源種をBETA(Beings of the Extra Terrestrial origin which is Adversary of human race、人類に敵対的な地球外起源種)と名付け、今日も人類は彼等との終わりなき戦いを繰り広げていた。
Prologue.「歪んだ運命の彼方に」 完
最初のコメントを投稿しよう!