【1】目を合わせれば

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 それがこの俺なのだ。      だが、ふとした先に、ある絵が見えたのである。  俺と同じ空を描いたそれは、一瞬先生が描いたように見えた。  だが、違う。   その絵を描いているのは女だ。  長髪が、夏に向かってそよぐ風に靡かれている。  その少女の絵は、未完成だが完璧だった。  高校生とは思えない筆のタッチと、色使い。  芸術的こそではないものの、その絵は神秘的だった。  それを見た瞬間、俺のプライドが傷つく。  自分で完璧だと思っていた絵が、あの絵に比べれば劣るように見えてならなかったからだ。  すぐさま、俺は絵を修正する。  何度も、何度も描き加える。  だが、描いても描いてもあの絵が頭から離れない。  徐々にいら立ち始めたその時だった。  「キミ、絵上手だね」  と、真後ろから声が掛かったのである。  
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