【1】目を合わせれば

5/8

2人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
 もちろん、あの男達ではない。  女の声。  俺はそこで静かに振り返ると、そこにはやはりあの絵の少女がいた。  「……」  また、俺は始め黙り込む。   しかし、  「キミ、名前はなんていうの? 同じクラスなのにあんまり知らないし」  そう、にこやかに話を続ける彼女。  絵の方を向く俺に、彼女は囁くように言った。  「私の名前は小鳥遊 空(たかなし そら)。よろしくね」  空と名乗る彼女は、俺の無言の訴えを無視しながら続ける。  「私は言ったよ、キミの名前は?」  もちろん無視だ。    こんなのと関わっている場合ではない、と思っていたのだが。  「……香山 当夜(かやま とうや)」  勝手に、俺の口はそう言ったのである。  なんの気まぐれか、俺は名乗ってしまったのである。  ってか、学校始まって名前すら把握してないのかよコイツ……。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加