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だが、声を掛けられたと同時に、俺のプライドはかなり傷つく。
なぜなら、彼女の方がかなり上手く見えるのにもかかわらず、俺の絵が上手いと評価されたからだ。
それにあんな笑顔で。しかも、裏のないその瞳で。
俺はいろいろ戸惑った。
こんな感じで話しかけてくる人間など、もういないと思っていたからだ。
しかし、彼女は違った。
それが確かなわけではないが、彼女、空は俺を利用ともせず、ただ人間として話しかけている。
「キミの絵は賞でも取れるんじゃない?」
「お、お前の絵の方が……上手いじゃねえか」
俺は絞るように言った。
「そうかなあ。私の絵はそのままを描いているけど、つまらない絵だと思う。私は当夜くんの絵が好き」
コイツ、今俺を下の名前でよびやっがた……。
「そ、そうか。それはよかったな」
こんな反応しかできない。
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