【1】目を合わせれば

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 だが、声を掛けられたと同時に、俺のプライドはかなり傷つく。  なぜなら、彼女の方がかなり上手く見えるのにもかかわらず、俺の絵が上手いと評価されたからだ。    それにあんな笑顔で。しかも、裏のないその瞳で。  俺はいろいろ戸惑った。  こんな感じで話しかけてくる人間など、もういないと思っていたからだ。  しかし、彼女は違った。  それが確かなわけではないが、彼女、空は俺を利用ともせず、ただ人間として話しかけている。  「キミの絵は賞でも取れるんじゃない?」  「お、お前の絵の方が……上手いじゃねえか」  俺は絞るように言った。  「そうかなあ。私の絵はそのままを描いているけど、つまらない絵だと思う。私は当夜くんの絵が好き」    コイツ、今俺を下の名前でよびやっがた……。  「そ、そうか。それはよかったな」  こんな反応しかできない。  
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