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「お前…それは……どうした…?」
蓮は身体中の毛穴が開くのを感じた。だらだらと厭な汗が流れる。
───まさか。
蓮の不吉な予感は止まらない。
輪入道の口の周りは真っ赤に染まっていた。
そして、口には何やら小さな足を加えている。
「ぷっ。これか?」
蓮の目の前に輪入道はそれを吹き出した。
ごとり。そんな音を鳴らして、足が落ちてきた。
切られた足の部分からはじわじわと血が流れて、やがてどす黒い水溜まりを作った。
無理矢理食いちぎったからか、骨が飛び出していた。
「おい。女」
「女将さん!!」
蓮は直ぐ様振り返った。
冷たい汗が流れ落ちた。
───まずい。
「俺より自分の息子を見てみな」
そう言って、輪入道はにやりと赤い口を歪ませた。
どくん!と大きく心臓が跳ねた。
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