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蓮は、例の二人を部屋に上げると、向き合って正座した。
彼らは蓮よりも一回りくらい年下に見える。10代であろうか。
まだ幼さは残るが、その面持ちは真剣そのものである。
「君らが来たということは…」
蓮は真っ直ぐに二人を見据えた。
彼らはごくりと息を飲む。
相も変わらず閑散とした場所なため、蒸し暑い空気だけが、変に流れた。
「もう、お昼時ですか?」
「なんでやねん!」
眉を寄せてそう尋ねる蓮に、一人の青年はずり落ちた。
「そういうわざとらしい反応はいらん。それから敬語を使え。若旦那。すみません」
間髪いれずにもう片方の青年が、ばしりと頭を叩き、蓮に頭を下げさせる。
「まぁまぁ。雨音。出雲までとは言いませんが、もう少し楽にしてくださいよ。僕も緊張します」
蓮はそう苦笑いした。
この二人は、蓮の、所謂付き人である。だが、蓮とは一緒には生活しておらず、やはりこのだだっ広い家には彼一人で住んでいる。
「珍しい。今日は竜之介様の所で召し上がっていないのですね。まぁ、取り敢えずは昼食はご用意いたします」
一人の名は雨音。黒い長い髪を下の方で緩く束ねている。先ほど、もう一人の青年の頭を叩いた。礼儀正しい青年である。
手際も良く、直ぐにエプロンをすると、今日持ってきた新鮮な野菜を取り出した。
「若旦那!何か食べたいものはありますか?」
もう一人は出雲。快活な笑顔を浮かべて蓮にそう問い掛ける。髪は雨音とは対照的に高い位置で結い上げている。
そして、この二人、目はぱっちり大きな切れ長で、鼻筋は高く、整った顔立ちをしている。
良く見ると彼らは顔がそっくりそのまま。瓜二つなのである。
雨音と出雲は一卵性の双子だ。
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