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いよいよ今日から高校生活が始まる。
あたしはちゃんと卒業できるのだろうか―――。
何も始まっていないのに不安がいっぱいで胸が締め付けられそうになる。
ギュッと目をつむり胸のあたりを掴んで俯くと、温かな味噌汁の香りがプーンと漂い……グ~。
「人間、腹が減っては戦はできぬ…よね」
クスッと笑うと、憂鬱な気分が少し晴れた気がした。
おばちゃん達の愛情たっぷりの朝ご飯は活力の源になりそうだ。
ご馳走様でしたと手を合わせ後片付けをすると制服に着替えた。
濃紺のブレザーに緑に黄色いラインの入ったチェックのスカート。
胸の大きめのリボンが学年カラーになっている。
さっきまでひとつに結んでいた髪を解き、少しきつめに三つ編みを2つにすると黒ぶちの大きなフレームの眼鏡をかけた。
『大丈夫。あたしは1人でも―――』
鏡に映る自分の姿に手を這わせ、表情を固くすると大きく深呼吸をして部屋を出た。
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