天を掴めば

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 次の日、最初は窓際の1番前の席が空いていることに何の違和感も持たなかった。  ああ。今日も空いてるなぁ、と思い。なんで空いてるんだっけ、と疑問に思ったときに正広の顔が浮かんできて忘れかけている自分に愕然とした。  なんで僕は何の疑問も持たなかったんだ。正広の事を忘れかけている?昨日まではあんなに気にしていたのにそれはない。じゃあなぜ。  僕は必死に頭を巡らせる。  正広が消えている。  正広と会話していた時は感覚が掴めなかったけれど、今なら分かる。  正広は消えてしまったんだ。
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