天を掴めば

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 窓際の1番前の席がポツンと1つ空いていた。僕は始め自らの目を疑った。  そこが正広の席だったからだ。正広はこれまで学校を休んだことなんてなかったから前の日の会話が自然と思い出されたんだ。 『人って簡単に消えるんだよ』  背筋がぞっとして顔が青ざめるのが分かった。生涯あれはどまで不安を感じた瞬間はなかった。  周りの誰かに確かめたかった。でも気軽に話し掛けられるクラスメートはいなかったし、その内容が正広となるとそれこそ良い顔をしないことが予測できてどうしても行動に移せないでいた。
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