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部室の印象を僕なりに簡潔にまとめるとするなら、
「き、汚くない…!」
綺麗、が正解なのだろうけれど、僕の勝手な想像により滞りが生じたようだ。
思いとは裏腹に、と言うのだろうか。
「失礼ね。綺麗好きが多いのよ?」
その言葉になんというか、納得である。
全体的に予想以上に広く、予想外にピンクい!
壁際は殆ど用途の分からない物体で溢れかえっている。やはり、見映えよく綺麗に整理されている。
入り口から入って左に本棚があって、本は勿論、小さくて可愛らしい小物まで配置されている。
小物はきっと彼女の仕業だろう。
その本棚の隣には卵割り機、と書かれているススで薄汚れた謎の機械が置かれている。
卵割り機なのだろうが、その形状、色、周辺機器の意義が全く不明なのだ。
故に、「謎の機械」である。
今のところ、機能ぐらいしか明白になっていない。
まあ、この機械に関して機能以外に意義を求めても仕方ないんだろうけれど。
その機械の真正面、というか、部屋のど真ん中。
大きなテーブルがある。
大きくて便利そうだ。
配置に至っては完璧である。ただひとつ、欠点を挙げるとすれば、
ピンクい! 思わずピンクい、という間違った現代語を使ってしまうほど、
ピンクピンクしているところだろうか。
テーブルの周りには、パイプ椅子が目で数えて4つ、いや5つ並べられてある。
なんと。
部員数は多分に、僕の予想以上だ。
そして最後に僕は、部屋の奥に目をやった。
パソコンが二台、一つは持ち運び用の薄いやつ。もう一つは、デスクトップだ。
奥は蛍光灯の光が届かないようで、少し仄暗い。
パソコンの画面に照らされて、仄かに青白く光る影のなかに、
人が居た。気づかなかった。
さっと見回すと見過ごしてしまうほど背景と一体化している。微動だにしないのだ。
最早この「人物」に、「人」という漢字は必要ない。
それくらい。
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